大山 祐之 (Hiroyuki Oyama) Feb 3, 2021 6:30:00 PM 3 min read

デジタル化が経理財務に与える7つの分野

デジタルトランスフォーメーションの流れを受けて企業のファイナンス組織が新しいテクノロジーの採用がますます進むと、CFOの将来はどうなるでしょうか。

世界のトレンドを見ると、企業のファイナンス組織が共通して直面しているのは、"Do more, with less."のプレッシャーです。つまり、より少ない労力でより多くのものを提供することが期待されています。幸いにも、これを実現させるために必要なテクノロジーはすでに身近なものとなっています。現在、世界中の多くのファイナンス組織がパイロットケースとして新しいテクノロジーを積極的に採用し始めていますが、スケーラブルな変革をもたらす広範な変化を十分に成し遂げたという事例はまだ少ないと言えるでしょう。

様々な調査レポートによると、今後5年間でRPA、ブロックチェーン、AI、スマートマシンといった、すでにあらゆるビジネス機能を変革しているこれらのモダンテクノロジーが、将来的に企業のファイナンス組織の業務にも身近なものになるとのことです。そのおかげで物事をより良く、より速く、そしてより安価に遂行できるようになります。一方で、複雑なビジネスニーズがますます高まり、イノベーションのペースが加速している今日の状況では、CFOは今後の組織計画を全く新たな視点で再考することが急務です。

複雑なビジネスニーズがますます高まり、イノベーションのペースが加速している今日の状況では、CFOは今後の組織計画を全く新たな視点で再考することが急務です。

 

次のような質問に対して、自社の経理財務部として答えられるか考えてみてください。

  • さまざまなテクノロジーを組み合わせたファイナンス組織設計を具体的にイメージできるか?
  • 現在の経理財務の業務は具体的にどのように変わり、誰がそれを行うかを説明できるか?
  • 将来、どのようにして自部門の効率化だけではなく、全社的な成功に貢献できるか?
 

1.ファイナンスファクトリー

最初の予測は、現在の経理財務の業務自動化が進むにつれてトランザクションが人の手作業を介在しない、つまりタッチレスになるファイナンスファクトリーの台頭です。重要なのは、可視性、ガバナンス、効率を向上させるテクノロジーを採用することです。正しく行われれば、これにより、従来の困難なマニュアルプロセスが排除されます。

2.財務データ入手のセルフサービス化

2番目の点については、今後はセルフサービスが標準になります。これは特に現在の経理財務メンバーには内心穏やかには受け入れにくいことかも知れません。なぜなら、重要な経営判断に必要なデータは自分たちを介さなくても、それぞれの意思決定者たちがいつでも、統合されたプロセスを介して入ってくる市場および運用インテリジェンスに基づいてリアルタイムの意思決定を行うことができるようになるからです。これにより、従来の経理財務は、予算の照会やレポートの作成などの情報ニーズの仲介役として機能する必要がなくなるということです。

3.業務サイクルのリアルタイム化

3番目の点については、ファイナンス業務サイクルはリアルタイムとなることが期待されています。従来のバッチ処理、四半期/月次予測、および定期レポートの回避策は大幅に減少し、最終的には完全になくなる可能性すらあります。従来のERPはプラットフォーム上に配置され、決算業務を補完する外部アプリケーションはそこに統合されることになっています。すでに日本国内でも見られている動きではありますが、最新のリリースで財務情報が常時更新されるようにするために、クラウドベースのERPに移行する動きはますます加速してゆくことになります。

ファイナンス組織はリアルタイムの指標とデータ分析を利用することで、マネジメントからの期待にいかに応えられたかが評価基準となり、こなした業務量の多さは、もはや評価基準にはなり得ません。

4.データマネジメント

データに関しては、APIの急増によりデータの標準化が促進されます。ただし、それだけでは十分ではありません。様々な組織では依然としてデータのクリーンアップに苦労しています。自動化とコグニティブテクノロジーによって作業が簡単になったとは言え、それでも面倒な作業であることには変わりありません。ファイナンス組織にとって重要なのは、データを適切に分析できる体制を目指して、データ管理サービス(DMS)の分野への投資をためらわず、高品質なデータを使用して重要なビジネス上の意思決定を簡単に行えるようにすることです。

5.業務モデルの変化

業務モデルについても考えましょう。新しいサービスデリバリーモデルは、ロボット、アルゴリズム、さらには、外部のフリーランサー、クラウド上で業務をこなすギグワーカーなどを含む様々な組み合わせによって形成されます。また、業務の自動化が進んだとしても引き続きBPO(アウトソーシング)やシェアードサービスのメリットも評価しつつ運用されてゆくでしょう。

6.求められるスキルセットの変化

すでに現実になりつつあるもう1つの予測は、経理財務業務に携わる人材に求められるスキルセットの変化です。従業員は新しい方法で新しいことを行うようになるため、将来のファイナンス人材に必要なスキルは、従来のスキルとは著しく異なります。CFOは今後、適切なファイナンス人材を確保するために投資を行う必要があり、テクノロジーとビジネスの両方を理解している人を焦点を当てることになります。もっとも、そのために必要な目利き力を部門リーダー自身が備えていなければならないことは言うまでもありません。

7.部門に期待される役割の抜本的な変化

上記の6つの分野に加えて、最後にもう一つあります。それは、ファイナンス組織の役割がそもそも変化するということです。今後データドリブンな企業活動がメインとなる中で、ファイナンス組織は企業活動のニューノーマル設計するにおいて、主要な役割を担うことになります。この記事で述べたすべての予測が実現した場合、ファイナンス人材の主な役割は、「データを準備すること」から「データを分析すること」へと移行し、それらのデータがビジネスについて何を伝えているのか、予測と実績の間で埋めるべきギャップは何かを利害関係者たちにリアルタイムで提供することになります。ファイナンス組織はまた、2020年に世界の動きすべてを大きく変えたCOVID-19により、通常の企業活動における支出のタイプやチャネルも大きく変わったことを体感しました。そのため、包括的なサプライヤー管理を推進し、費用コンプライアンスをこれまで以上に推進する動きが加速するでしょう。

もっとも、この記事で述べた予測のすべてが今後数年の内に実現するとは言えませんが、自動化とデジタルトレンドが加速および拡大し続けることは確実であり、そのメリットは無視できないほど大きいものです。デジタル時代では、企業内のファイナンスという役割に関する明確なビジョンと戦略が必要であり、この点でCFOが将来へのロードマップの検討を先延ばしにせず、今すぐ明確にしておく必要があると言えるでしょう。

大山 祐之 (Hiroyuki Oyama)

外資系企業のファイナンス部にて日本事業のスタートアップや企業買収後のPMI、ERP導入プロジェクトのリードなどに従事。海外SaaSの日本市場進出支援と日本企業の経理財務部のデジタルトランスフォーメーションを支援。

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