仕事に限らず毎日の生活の中で、手書きやアプリでTO DO リストを作っているという方も多いのではないでしょうか。完了したタスクにチェックを入れていく時には達成感と喜びを感じられるものですが、そうした理由以上に、経理業務においてはチェックリストを作成し使用することはとても大切です。なぜでしょうか。どんなリストを作れば良いのでしょうか。
今回は経理業務における、
- チェックリストの必要性
- チェックリストを作成する際のポイント
- チェックリストを作る際のテンプレート例
- チェックリストよりも経理業務を効率化するための方法
について解説していきます。
1,経理業務のチェックリストの必要性
まず経理業務になぜチェックリストが必要なのでしょうか?ここではその理由をいくつか考えます。
チェックリストを作成しないと人は忘れるため、可視化が必要
経理の業務内容は日次、月次、決算とそれぞれ多岐に渡りますが、どれも正確に漏れなく処理していくことが求められ、コンプライアンスも非常に重要視されています。
毎日、毎月決まって行う業務については覚えていても、半期に一度または年に一度の業務もあります。そうなると過去の記憶を辿ったり過去のファイルを見返すことになりますが、結局のところ100%正確に行うことは難しく、不必要な時間のロスにもなります。
口頭による伝達だと誤って伝わることがある
業務内容の変更や追加は大小を問わず日常的に発生します。その際に口頭による伝達だと、相手に内容が正しく伝わっていなかったり、しばらくは実行されてもその後忘れ去られたりすることがあります。
そのため日頃からチェックリストを作成し、何か変更や追加などが生じたときには更新することで、「言ったはず」「聞いてましたっけ」という不毛なやりとりも無くなります。
また担当者の移動や退職など業務の引き継ぎが行われる際にも、新しい担当者はチェックリストを参照することで漏れなくスムーズに業務を引き継ぐことができるでしょう。
2.経理業務のチェックリストを作成する際のポイント
実際に経理業務のチェックリストを作成する際のポイントには以下のものがあります。
- 手順を簡潔に書き出してからリストを作る
- 資料として前例の具体的な内容を記載したURLを貼る
- 定期的なメンテナンスを怠らない
それぞれについて簡単に解説していきます。
2-1.手順を簡潔に書きだしてからリストを作る
リストは誰でもわかるように、網羅的に、正しい手順で書き出す必要があります。また、項目に抜け目があると意味がなくなってしまいます。よく起こることとして、チェックリストを作成した本人にとっては当たり前のことなのであえてリストに加えていない、また項目の羅列だけで正確な順番は本人しか分からないということがあります。
例えば、買掛金や未払金の支払業務では、最終的な上長の承認前にまず各担当者やグループリーダーの承認を得るというフローの会社も多いかと思います。5W1H(What, When Who, Why, Where, How)までは行かなくても、この場合リストに下記の情報まで記載されていると、業務を逆算し前もって各担当に承認依頼できるので、「最終的な銀行承認期限が1時間後なのに、承認者が出張中や客先会議中でどうしよう!」などと慌てることなくスムーズに仕事を完遂することができるでしょう。
- 何を
- 誰に
- いつまでに
- どのように
人事異動や退職などで担当者が変わる場合などをふまえ、誰が見ても分かり、リストの項目の流れの通りに行えば業務が正確にスムーズに完了するようなリストの作成を目指しましょう。
2-2.資料として前例の具体的な内容を記載したリンクを貼る
チェックリストに作成資料の項目があるのに、実際過去に作成された資料がどこにあるのか、どんなものなのか分からず困った経験はありませんか?その結果、資料を一から作るとなると時間も手間も無駄にかかってしまいます。
エクセルなどでリストを作成する場合は、分かりやすいように前例資料のリンクを貼っておきましょう。
2-3.定期的なメンテナンスを怠らない
時間が経てばチェックリストの情報は古くなっていくため、随時更新が必要です。追加や変更があっても更新されないチェックリストは遅かれ早かれ使われなくなり、やがてフォルダの片隅にひっそり忘れられていきます。
忙しいと更新する時間もないと感じる時がありますが、それが積み重なってリストは陳腐化しますので、時間を見つけては定期的にメンテナンスするようにしましょう。
3.経理業務のチェックリストを作る際のテンプレート例
ここでは経理業務のチェックリストを作る際のテンプレートの例をいくつか取り上げたいと思います。
http://www.prokeiri.com/getuji/checkList.html
https://tax.mykomon.com/daily_contents_21828.html
4.チェックリストよりも経理業務を効率化するための方法
経理業務の効率化にチェックリストが非常に重要であることが分かりました。とはいえ、チェックリストをエクセルで作成し管理する以外に、もっと効率的に業務を管理する方法はないのでしょうか?
答えは「あります」。ここでは、チェックリストよりも経理業務を効率化できるそれぞれの方法について、メリットとデメリットを紹介していきます。
4-1.クラウド化
まず経理業務をクラウド化するメリットとデメリットは何でしょうか?
☑︎メリット
- 経理の知識がなくても手軽に始められる
- ソフトウェアを常に最新の状態で使用できる
- 銀行口座やクレジットカードと自動連携できる
- 使用端末を選ばず利用できる
- データのバックアップが簡単かつ安心
☑︎デメリット
- ランニングコストがかかる
- 安定したネット環境が必要
- セキュリティ面の不安がある
一つ一つ具体的に解説します。
クラウド化のメリット
経理の知識がなくても手軽に始められる
パソコンにインストールして使う一般的な会計ソフトは、高度な知識とまでは行かなくても、ある程度経理が分かっている人が使いやすいように作られています。
クラウド会計ソフトは自動仕訳できたり、ガイドに従って入力するだけで仕訳入力が終わるなど、経理の知識がなくても手軽に始められるようになっています。また、不明点はオンラインチャットですぐに問い合わせ、教えてもらうこともできます。
ソフトウェアを常に最新の状態で使用できる
これまでのインストール型のソフトウェアは、バージョンアップがあると新たにソフトを購入してインストールする必要がありました。
一方、クラウド型のソフトウェアはパソコンにインストールする必要がなく、ブラウザ経由でサービスにアクセスするので常に最新の状態で利用でき、費用も手間も節約できます。
銀行口座やクレジットカードと自動連携できる
クラウド化ソフトでは、ネットバンキング対応の銀行口座やクレジットカード情報を登録すると、入出金明細やクレジット明細情報を自動で会計ソフトに反映し、仕訳まで行ってくれるので、入力の手間が省け非常に便利です。
使用端末を選ばず利用できる
インストール型では、ソフトウェアをインストールしたパソコンでしか仕事ができません。しかしクラウド型はネット上で各サービスにアクセスしログインすれば、パソコン・タブレット・スマホなど端末を選ばず利用できます。
例えば、出張先の海外からもアクセスし、リアルタイムで会計データを確認することも可能です。
データのバックアップが簡単かつ安心
インストール型ではパソコンにデータを保管するため、万が一の事態に備え、バックアップはUSBなどの外部記憶媒体に移し替える必要がありました。しかしクラウド型ではデータはクラウドサーバーに保管されるので、パソコンの不具合や災害でデータが消失する心配もなく、データを保存した記憶媒体を管理する手間も省け、個人のパソコンに比べると厳重なセキュリティ対策もされているため安心できます。
クラウド化のデメリット
ランニングコストがかかる
インストール型の会計ソフトは高価なものが多いものの、一旦購入すればバージョンアップまでは維持費を支払う必要はありません。
一方、クラウド型の会計ソフトは初期費用はほとんどかかりませんが、ユーザー数に応じて月額料金を支払うことになります。
安定したネット環境が必要
インストール型会計ソフトは、一度インストールすればその後ほとんどインターネット接続は必要ありません。
一方、クラウド型会計ソフトはネット環境がなければ使えないため、ネット環境が不安定だったり全く使えないと途端に仕事が出来なくなります。
セキュリティ面の不安がある
一般的にクラウド型のサーバーは、個人のパソコンよりもしっかりセキュリティ対策が取られています。しかし外部サーバー上に銀行口座やクレジットカード情報や会計データを保存する以上、情報が漏れるのではないかとの不安に思われる方も多いでしょう。
このように経理業務のクラウド化には、業務を効率化するメリットが様々あることがわかりました。とはいえ、クラウド化すれば業務は効率化されても、漏れがなくなる訳ではありません。引き続きチェックリスト自体は必要です。
4-2.RPA
経理業務にRPAを利用するメリットとデメリットは何でしょうか?以下が挙げられます。
☑︎メリット
- 労働環境が改善される
- 経理部員がより付加価値の高い仕事に取りかかれる
- 正確さが向上する
✔️デメリット
- 操作に慣れるまでに時間がかかる
- 完全な自動化は難しいため人によるチェックが必要
一つ一つ具体的に解説します。
労働環境が改善される
RPAを導入することにより、これまで照合や入力作業にかかっていた時間と手間を圧倒的に削減できるので、「経理あるある」になりがちな月末月初に夜遅くまで残業するという労働環境を改善できます。
RPAが24時間休まず働いてくれても、労働基準法に引っかかることはありません。
経理部員がより付加価値の高い仕事に取りかかれる
RPA導入により経理業務の作業時間が削減されるので、経理部員は節約できた時間を分析や財務戦略を練ることなど、より付加価値の高い仕事に当てることができます。
これにより会社の経営にとってのメリットはもちろん、経理部員が個人としてもスキルアップでき、会社の成長とともに経理部がよりプロフェッショナルな集団に成長できる機会が生まれます。
正確さが向上する
RPAは設定した業務をスピーディーに正確に処理することが得意なので、人が手作業で処理することにより生じてきたヒューマンエラーを削減することができ、正確さが向上します。
会計データは溜めずに都度処理することができるので、リアルタイムに正確な会計データを表示させることができます。
RPA導入のデメリット
操作に慣れるまでに時間がかかる
何でも共通することですが、道具を使いこなすためにはまず道具をよく知り、使って慣れていく必要があります。
ルール化された定型業務が得意なRPAをうまく使うには、まずは現状の業務を洗い出し、RPA導入による改善効果が高いと思われる業務を標準化し、実際に利用して検証・改善を繰り返していく必要があります。
完全な自動化は難しいため人によるチェックが必要
RPAツールはあらかじめ設定した作業は素早く正確に終わらせることができますが、設定していないものやイレギュラーが生じた場合は人間が対応する必要があります。
例えばRPAでデータ照合した結果、不一致のデータをすぐに発見しますが、不一致の理由を担当者に聞くなどのその後の対応まではできません。
4-3.AI
最後に経理業務にAIを取り入れるメリットとデメリットには何があるでしょうか?
☑︎メリット
- 業務の手間と時間が省ける
- 人がより付加価値の高い経理業務に専念できる
- イレギュラー対応が可能になる
☑︎デメリット
- 導入費用が高額になる
- 操作に慣れるまで手間がかかる
- AIがある程度学習するまで、人が修正していく必要がある
一つ目と二つ目の項目は上記のRPA導入のメリットと内容が被るため割愛し、ここでは3番目の項目についてだけ考えます。
イレギュラー対応が可能になる
今後開発が進みAIが学習を深めていくと、これまで人が対応していた様々なイレギュラー対応をAIが代わりにしてくれるようになるでしょう。例えば、データの照合作業においてRPAツールでは、弾き出した差異について担当者に確認するなど、その先の対応は人が行います。
しかしAIの場合は、人しか対応できない部分を学習によって代理に行うことが可能です。
AI導入のデメリット
導入費用が高額になる
AIの開発と活用はまだまだ始まったばかりで、現状では導入に最低でも数百万かかり、開発にも時間がかかるため、結果としてAIの導入費用は非常に高額になります。
操作に慣れるまで手間がかかる
RPAの導入と同じく、使いこなすためにはツールを知り、馴染み、慣れていく必要があります。それには時間がかかります。
AIがある程度学習するまで、人が修正していく必要がある
AIは人工知能による「判断」分野を得意とし、使えば使うほど学習し精度が向上します。しかし逆を返せば正確に判断できるようになるまでは、何度も使ってツールに学習させる必要があります。それまでは人が内容を確認し修正していく必要があります。
5.まとめ
経理業務の効率化のためにチェックリストを使う大切さと作成方法、さらに業務を効率化するためのツールについて考えてきました。「どうすればもっとよくなるか」という視点をいつも持ち、チェックリストをうまく取り入れていきましょう。また業務効率化のツールについても、チェックリストを作成する中で、どの業務が自動化に向いているのか見えてくるでしょう。
弊社が扱うトリンテック社のTask Managerというタスク管理ツールでは、チェックリストをクラウドソフト上で管理・使用できます。誰が何をいつまでに行うのかなど経理部内の業務を細かく設定でき、進捗を可視化もできるので、漏れや業務の滞りを無くし、業務を期限内に正確に終わらせることができます。
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